08 April 2007

日中内経学術交流会

中国側は銭超塵教授と段逸山教授,日本側は宮川浩也と私。
私のは銭教授の最近の大作『黄帝内経太素新校正』に400~500の誤りは有る,というもの。しかも,その最大の原因は,この中医研修の企画者でもあるオリエント出版社が状態のあまりよくない複印しか提供してないから,というもの。きわめて微妙な状況であって,途中で憤然と席をたたれるかとも思ったけれど,そんなことはありませんでした。私自身はUSBメモリーで持って行った画像の説明にいそがしかったけれど,他の人の観察によると,銭教授の顔が緊張したり,青くなったり赤くなったりだったらしい。それでも,報告が終わると,握手をもとめられ,さしあげたBLOG本にサインまでもとめられました。下手な字でサインというのはなんとも照れくさかったです。さらに再版時には是非とも参考にさせてもらうまでいっていただきました。やっぱり,一流の学者はちがうと感激です。
段逸山教授の発表は,渋江抽斎『霊枢講義』の評価です。ただ,残念ながらその見た『霊枢講義』は学苑出版社のものにすぎません。あれは駄目です。あの原稿は書き足した文章のつづきを様々な記号で指示しているんですが,その接続の判断をしょっちゅう間違えている。校点者の筆頭に名があがっている友人の他の仕事の水準に達しているとはとても思えないから,実はだれかにまかせて手をぬいたんじゃないかと密かに疑っている。そんなことをその席で指摘しなくても良いようなものだけど,指摘がなければ若い聴衆は迷惑するだろう。段教授に本物の影印を提供してない出版社も照れくさいはずだけれど,段教授だってあんまりうれしくはない。でも,喧嘩にはなりません。大人ですからね。
銭教授の話は,『太素』撰著年代の話。一瞬,そんなの常識じゃないかと思ったけれど,よく考えたら常識にしたのは銭教授でしたね。本当に偉大な学説というのはそうしたものかも知れない。
宮川さんの話は,今までのよりも遙かに善い『難経』の版本が見つかったという報告。
日本側の報告は本当は中国の学者さんたちにこそ聞いてほしい内容でしたね。いや私のは,銭教授に聞いてもらえればまあ満足でしたが,できれば共著者の李雲さんと学苑出版社の編集責任者は引っ張り出したかった。