30 December 2007

WEBの儚さ

古典研のWEBが閉鎖されてます。契約者の井上先生が亡くなられたため,自動的にニフティとの契約が解除された,ということのようです。先生ご自身は,そういう可能性を認識なさってなかったように思います。データとかは回収できるんでしょうか。人ごとながら心配です。印刷物ならそのまま残るわけですが,こういう"架空"の媒体は気をつけないといけませんね。
内経のWEBの基本的な内容は公的機関を使用しているから大丈夫なはずですが,BLOGはGoogleだから同じようなことになるかも知れません。規約なんてろくに読んでませんからね。
あらためて,儚いですねえ。

18 December 2007

ああやっぱりお亡くなりになったのだ

井上先生を偲ぶ会に,多数のご参加をいただき感謝いたします。
この催しは,ほとんど全く,残されたもののこころの平安の為に行ったことです。
現場にいた人たちの中に,未だ偲ぶという気持ちに切り替えられない人がいるのも分からないでは有りません。けれども,我々のような過去形としてしか状況に触れ得なかったものとしては,どこかに線を引かなくてはどうにも落ち着かないということにもご理解いただきたい。偲ぶ会を曲がりなりにも催してやっと,ああやっぱりお亡くなりになったのだ,ということです。
将来において,胸をはった,開かれた「偲ぶ会」が催されたところで,所詮,「偲ぶ会などはやるな」という強い遺志をより尊重する人からは裏切りもの呼ばわりされるかも知れません。
我々の個人個人の宗教的信条は異なります。死をどう考えるかも恐らくは違うでしょう。だから,「人には知らせるな,葬儀は密葬だけにせよ,偲ぶ会なんかやるな」についての解釈もそれぞれ微妙に差が有るでしょう。
我々には偲ぶ会が必要でした。だから,やりました。いまさら,どういうつもりで没後の報告だけだったんだ,どうして密葬だけなんだ,なんて野暮なことは言いません。こういうことは究極的に個人的なことであって,端からとやかくいうべきものでは有りません。我々についても,これはやむにやまれぬ感情でやったことです。とがめないでいただきたい。

25 November 2007

偲ぶ会について

偲ぶ会について もう少しだけ詳しい案内です
期日は 2007年12月15日土曜日
時間は 午後1時から4時ころまで
場所は 東洋鍼灸専門学校402教室(予定)
参加資格は問いません 1次会の参加費もありません
語り手として 今のところ予定しているのは
 宮川浩也 左合昌美 松田博公 天満博
会場から他に語り手が現れるのを期待します
途中で昨年の東鍼祭の講演ビデオを上映する予定です
夕刻から先生お気に入りだった店に移動して 2次会の予定が有ります
(スタッフ以外の2次会参加希望者はメールをお願いします お店の席の確保の都合です)

10 November 2007

森立之生誕200年祭

日本内経医学会
北里研究所附属東洋医学総合研究所医史学研究部
森立之研究会
共同企画

森立之生誕200年祭

日時:平成20年1月13日(日)午後3時~5時
場所:池袋 洞雲寺 東京都豊島区池袋3-5-30
定員:50名
*申込者多数の場合、抽選になります。
内容
〔1〕200年祭(無料)
  (1)祭事
  (2)講演
      小曽戸洋(北里研究所医史学研究部)
      左合昌美(日本内経医学会)
      岩井祐泉(森立之研究会)  
  (3)遺品鑑賞会
〔2〕懇親会(有料・5000円程度)

【定員がありますので、応募は、北里研究所医史学研究部の関係者、日本内経医学会会員、森立之研究会会員に限定させていただきます】
【なお本会は平成19年度の日本内経医学会の講演会を兼ねます】

申し込み方法
1.ファックスハガキにて、申し込むこと。メールや口頭での申し込みは受け付けません。締め切りは11月20日です。
2.ファックス048-295-3029
  〒333―0802 川口市戸塚東1-1-32
                  宮川浩也宛
3.200年祭と懇親会の参加希望、名前、所属、連絡先を明記してください。

01 November 2007

井上雅文先生を偲ぶ会

井上先生が10月14日にお亡くなりになりました。葬儀は故人の遺志によって,近親者のみで執り行われました。こういうことは究極的に個人的なことであって,端からとやかくいうべきものではないと思います。ただ,偲びたい人が集って,語り合うという機会が設けられないのは,やはり寂しいし残念です。そこで,自分たちで偲ぶ会を開きます。勝手にやることですから,このBLOGに書き込む以外の広告はしません。見た人の口コミを期待します。
思い起こせば,日本内経医学会と井上先生の縁は,原塾の『霊枢』講座からです。あの準備としての医古文にかまけて,毎週の二年間で,ついに九針十二原篇しか読めなかった伝説の講座です。
人迎気口診についても,外部で講習会が開かれたのは,原塾の空き時間を利用しての小じんまりとしたグループが始まり(唯一?)ではなかったか。それが脈学会に発展した。(記憶が間違っていたらごめんなさい。)
そこで,原塾の同窓会としての偲ぶ会を催します。日本内経医学会は原塾の後身です。だから結局,日本内経医学会のBLOGを利用して広告し,日本内経医学会の会員をスタッフとして催します。問い合わせ先も日本内経医学会ということになります。勿論,井上先生は日本内経医学会の占有では有りません。だれのどこの占有でもありません。当たり前のことです。だから,井上先生を偲びたい人は,原塾の同窓生でなくても日本内経医学会の会員でなくても歓迎します。それどころか,井上先生にはついにお目にかかれなかった人で,本当は興味が有ったんだという人にはお勧めします。いろいろな話を聞ける良い機会だと思います。
ろくに広告はしません。だから集う人が少なければ,予定の行事はさっさと切り上げて,酒場に移動して,井上先生の思い出を肴に,侃々諤々ということにしたいと思います。だから,会場へは遅れないようにしてください。
 日時:2007年12月15日土曜日午後
 場所:東鍼校
 内容:思いのたけを語る 耳をかたむける
 問い合わせ先:日本内経医学会
詳しい内容はおってまた。

18 October 2007

哀悼

日本内経医学会の前身である原塾において『霊枢』講座を担当し
そこに医古文の教育を導入することによって
今日の日本内経医学会の性格を決定づけた恩師
井上雅文先生 が
10月14日午後4時頃 ご逝去なさいました

師恩を想い 哀悼の意を表します

09 October 2007

催しの予告

森立之生誕200年祭予告

日時:平成20年1月13日(日)午後3時~5時
場所:池袋 洞雲寺(東京都豊島区池袋3丁目5-30)
定員:50名(申込者多数の場合は抽選の予定)

平成19年度の日本内経医学会の講演会を兼ねますので、会員限定です。

28 September 2007

新刊案内

『杉山真伝流臨床指南』

大浦慈観編著 六然社
平成19年10月10日発行

内容:
第1章 杉山真伝流の手技体系を知る
第2章 『杉山真伝流』の治験例を読む
第3章 杉山真伝流免許皆伝の極意とは
第4章 「鍼法九十六術」和訓(資料篇)
第五章 蘇る杉山真伝流

杉山真伝流研究の泰斗、大浦先生十五年にわたる成果。
豊富な手技のイラスト入り。
第1章の手技の説明は、本文・主治・口伝・補足説明・臨床応用・他術への応用といった順序でなされる。
第2章の治験例は32例。書き下し文・補注。
第3章は、(免許)皆伝の巻「鍼法撮要」から。

08 April 2007

日中内経学術交流会

中国側は銭超塵教授と段逸山教授,日本側は宮川浩也と私。
私のは銭教授の最近の大作『黄帝内経太素新校正』に400~500の誤りは有る,というもの。しかも,その最大の原因は,この中医研修の企画者でもあるオリエント出版社が状態のあまりよくない複印しか提供してないから,というもの。きわめて微妙な状況であって,途中で憤然と席をたたれるかとも思ったけれど,そんなことはありませんでした。私自身はUSBメモリーで持って行った画像の説明にいそがしかったけれど,他の人の観察によると,銭教授の顔が緊張したり,青くなったり赤くなったりだったらしい。それでも,報告が終わると,握手をもとめられ,さしあげたBLOG本にサインまでもとめられました。下手な字でサインというのはなんとも照れくさかったです。さらに再版時には是非とも参考にさせてもらうまでいっていただきました。やっぱり,一流の学者はちがうと感激です。
段逸山教授の発表は,渋江抽斎『霊枢講義』の評価です。ただ,残念ながらその見た『霊枢講義』は学苑出版社のものにすぎません。あれは駄目です。あの原稿は書き足した文章のつづきを様々な記号で指示しているんですが,その接続の判断をしょっちゅう間違えている。校点者の筆頭に名があがっている友人の他の仕事の水準に達しているとはとても思えないから,実はだれかにまかせて手をぬいたんじゃないかと密かに疑っている。そんなことをその席で指摘しなくても良いようなものだけど,指摘がなければ若い聴衆は迷惑するだろう。段教授に本物の影印を提供してない出版社も照れくさいはずだけれど,段教授だってあんまりうれしくはない。でも,喧嘩にはなりません。大人ですからね。
銭教授の話は,『太素』撰著年代の話。一瞬,そんなの常識じゃないかと思ったけれど,よく考えたら常識にしたのは銭教授でしたね。本当に偉大な学説というのはそうしたものかも知れない。
宮川さんの話は,今までのよりも遙かに善い『難経』の版本が見つかったという報告。
日本側の報告は本当は中国の学者さんたちにこそ聞いてほしい内容でしたね。いや私のは,銭教授に聞いてもらえればまあ満足でしたが,できれば共著者の李雲さんと学苑出版社の編集責任者は引っ張り出したかった。

24 March 2007

日中学術交流会

オリエント出版社の企画に便乗して3月23日に、 日中学術交流会をおこないました。

漢方なるほど物語

北里医史研の小曽戸先生が、NHK教育テレビ「知るを楽しむ―歴史に好奇心」で「漢方なるほど物語」を担当されます。
放送:5月10・17・24・31日(木曜日)
   22:25~22:50
再放送:5月17・24・31日、6月7日(木曜日)
    5:05~5:30
テキスト:3月25日発売

じつは天野くんの依頼で北京から書き込んでいます。

13 February 2007

七孔三毛

今さらもう誰もおぼえちゃいないと思うけれど、新年の研究報告で、『太素新校正』を校正すると称していろいろあげつらった中で、巻3陰陽雑説「皆藏精於心」の楊上善注「心有七孔三包,盛精汁三合。」について、今までの諸本は「包」を「毛」に誤っているという主張に対して、原鈔はどう見たって「毛」である、と言った後に、わざわざ「この部分も民間流出の断簡であり、大正の模写を見ているわけだが」と付け加えたように思います。思い違いでした。その部分は、仁和寺蔵の古巻子抄本の真物の影印を見ています。人の校正をあげつらった報告の中で、校正をミスしていました。おはずかしい。

28 January 2007

フォントのホント

今度のvistaでは葛城になって,下部が匃になって,下部が匂の字は書けなくなるという噂だ。ユニコードで文字コードが同じだから,多分本当だろう。でも,本当はもともとそのほうがよかった。こういうのは,同じ文字コードでフォントの切り替えにしたほうが良い。
例えば,黄と黃,内と內,経と經と经などは,それぞれ別に文字コードがふってあって,どれにするかで言い争いになる。学術文書には『康煕字典』体だといいはる人はフォントの選択で指定すれば良い。だけど,例えば唐代の書物を整理するのに清代の字書にあわせて安心というのも,いささかノーテンキだとド素人は思う。本当は『干禄字書』(の正の)フォントにしたいところだけど,そんなことが出来るわけがない。せめて宋代雕版楷書体フォントが欲しいけれど,まあそれも難しいでしょうな。そもそも唐代の書物を宋代の文字に整理して悦にいるというのも,『康煕字典』体に統一するというのも,五十歩百歩ですしね。

16 January 2007

「きざし」を見る

医学用語として「徴」の字が使われたとか使われなかったとか,何を言っているのかわからなかったろうと思うから,ちょっと一言だけ。

『太素』巻2順養の例の聖人は未病を治すとかいうところの楊上善注に「身病國亂,未有豪微而行道者,古之聖人也。病亂已微而散之者,賢人之道也。病亂已成而後理之者,衆人之失也。理之無益,故以穿井鑄兵無救之失以譬之也。」と言ってます。で,この「豪微」と「已微」は,ひょっとすると「豪徴」と「已徴」の誤りではないかと思うんです。仁和寺原鈔に書かれている文字は『干禄字書』に載っている「微」の通です。で,「徴」の王の部分を草書風に書いたらそんなに違わないんです。現に仁和寺原鈔には絶対に「徴」でないとおかしい箇所にも同じ形を書いています。だから,少なくとも楊上善の医学の中には,わずかに徴(しるし、きざし)が有る,すでにちゃんと徴が有る,病が成ってしまった,という診断の基準は有ると思うんです。「死徴」という表現も有るし,「見微」とあるけれど「見徴」かも知れないという箇所も有る。後にそういう表現はあまり発展しなかったかも知れないけれど,こういうのを医学領域に用例が無いと言うんですか,ということです。

15 January 2007

内経講座の案内

平成19年度日本内経医学会講座案内
日時:日曜日 午後1時~午後5時 全10回
4月15日・5月13日・6月10日・7月8日・9月9日・10月14日・11月11日・12月9日・2月10日・3月9日
場所:東洋鍼灸専門学校第1校舎
定員:各クラス30名
受講費:年会費1万1千円+受講費1万円(10回分)合計21000円  
受講資格
●第1クラス:社会人または学生
●第2クラス:継続受講生・第1クラス修了生
●第3クラス:第1クラス・第2クラス受講生

講義内容
第1クラス 102教室
①医古文講座:荒川 緑 講師 午後1時~3時
実際の文献に当たって、「語法学」を中心に、古典の読み方の基礎を1年間で講義する。テキストは浜口富士雄著『古医書語法の基礎』。
②訓読講座:林 孝信 講師 午後3時~5時
実際の文献に当たって、主として「訓読」の方法を1年間で講義する。テキストは随時配布(無料)。
第2クラス 402教室
①霊枢講義:宮川 浩也 講師  午後1時~3時
3年前からの継続講座で、第1クラス修了生は中途参加になる。講義の始めに朱熹の『論語集注』を読む。
テキストは『現代語訳霊枢』(東洋学術出版社)+配布資料+『論語』。
②素問講義:岩井 祐泉 講師 午後3時~5時
『素問』を、あらゆる知識を使って、読みこなす。テキストは、顧従徳本『素問』+『老子』。
第3クラス 403教室
○刺絡:宮川 浩也 講師 午前10時~12時 
撥打法をもちいた刺絡の講義と実習。
受講資格は第1クラス・第2クラス講座生で、全10回参加できる方。

申し込み締め切り1月31日(水)

受講費振込先
口座番号 00120-8-548449 
加入者名 日本内経医学会

問い合わせ
日本内経医学会事務局
〒333-0802 川口市戸塚東1-1-32(宮川方)
FAX: 048-295-3029
事務局へe-Mail