24 June 2006

中医古籍考拠例要

 菉竹さんに紹介されて、王育林『中医古籍考拠例要』を取り寄せてみました。
 まだ読み始めたばかりでもあり、また著者に匹敵するほどの素養も無いのに評価の辞を述べるのも烏滸がましいけれど、この書物は結構良いかも知れない。
 良いと思った点は、まず第一に篇幅不大、それに文章も平易であること。そして、介紹了古今学者研究中医古籍的許多成果、特に現在活躍中の例えば、銭超塵、張燦玾、馬継興などの先生方の最近の著作が多く引用されていること。このことは、一般に冷たくなった灰のように思われがちなこの学問が、現に真っ赤に焼けた炭火であることを実感させてくれる。
 残念なことは、現代の出版物としての校正がおろそかであること。この学苑出版社は、良書を発行してくれるわりには、校正にやや難が有る。「淳於意」とか「問政十年」とか。

12 June 2006

綿陽の木俑

 昨年の伝統針灸学術大会の内容の載った会誌が届いて、綿陽の木俑が話題になっています。どうして足の陰経と任脈が無いのか、という疑問が提出されています。答えは簡単です。内部のものは表面には書けなかった。任脈は内部なのか。そりゃ内部でしょう。足の陰経は内部なのか。実は内部です。では手の陰経は外部なのか。上肢においてはそうです。上肢は平べったいですからね。少なくとも木俑の作者はそう思った。あるいは少なくとも、外部に反映させて書きやすかった。
 したがって木俑の経脈説は『霊枢』のものとさして違いが有るわけじゃない。

09 June 2006

『太素』中の「喜」字

王育林『中医古籍考拠例要』(学苑出版社)114頁
(『太素』)或拠書中「善」字多改爲「喜」字以避北朝東魏孝静帝元善見名諱之例,疑其所拠祖本係北朝伝本。
 
 なおこの著作は,繁体字本ですので,おそらく簡体字で書いて,それを繁体字化したのだと思いますが,やりすぎている箇所があって,「淳于意」が「淳於意」となっていたりします。
 一律変換ソフトを使っているのでしょうか。

03 June 2006

おそるおそる

どなたも書き込みされないようなので,挑戦してみます。
管理人さんも心配しているようですので。
最近,王育林『中医古籍考拠例要』(学苑出版社)という本を買いました。著者の王育林さんは北京中医药大学远程教育学院の教授のようで,銭超塵先生が「我的学生」と序文で書いています。
題名からは,ちょっと内容が掴みづらいと思いますので,主な目次を紹介します。
導言/上編 第一章 目録之学/第二章 版本之学/第三章 校勘之学/第四章 辨偽和輯佚之学/ 中編 第五章 中医訓詁考拠学之概念/第六章 中医訓詁考拠学之方法/下編 第七章 『黄帝内経』考拠/第八章 本草名物考拠/後記
第七章の第六節は,日本江戸時期的『内経』研究であり,管見では中国人が書いたものとしては,最も多くのページを森立之について言及しています。
後記には,著者のEメールアドレスも書かれています。